ぼくセザール 10歳半 1m39cm

2003年/99分/カラー
監督:リシャール・ベリ
脚本:エリック・アススリシャール・ベリ
出演: ジュール・シトリュク、マリア・ド・メデイルシュ、ジャン=フィリップ・エコフェ、ジョゼフィーヌ・ベリ

ぼくの名はセザール・プチ。ちょっと太めだけど、そのことはあまり言われなくない。ぼくの親友はモルガン。成績優秀、スポーツ万能、その上大人っぽい。でも彼にも一つだけ悩みがある。父親を知らないこと。そして、学校一の美女、サラ!彼女のためなら命も惜しくない。でも10歳の女の子に“男は中身”だってことをわからせるのは簡単じゃない。ちょっと小太りなことの“羞恥心”、甘い物への“執着心”、モルガンへの“友情”とサラへの“愛情”……そんな様々な葛藤に悩み、行動し、変わろうとするセザールの日常の大冒険を描いた爽やかな物語。

『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』というタイトル通り、全ての映像が10歳半の気持ち、1m39cmの背丈から語られる。こどものまなざしに変わると、世界は一変するのだ。「どうしてこどもには敬語を使わないの?」「危険なヤツだと言ってた人のお葬式なのに、何故泣いてるの?」「大人はこどもに説明しないで、命令する」「色とりどりのケーキを眺めるのは最高!」「田舎に行くのは追放された気分だ…」こども同士では口には出してもいても、普通なら絶対に聞けない本音が聞けてしまう。そして、大人になった私たちが忘れていた、懐かしくも甘酸っぱい感情がよみがえってくる。こどもの頃は毎日まるで世の中の大発見をしているかのようだった。今一度、こどもの感性を通して、生きるということがどういうことなのか探っていくのだ。

大人から見ると過小評価しがちなこどもの悩み…例えば初恋や、初めての旅行のドキドキ、外見のコンプレックス…等、を本作では真っ向から撮影している。そうすることで、ささいな出来事さえも、こどもは妥協しない真っ直ぐな姿勢で向かい合っている、という事実に気がつかされる。小さな体を思い切り弾ませて、目を見開いて、体当たりで目の前の出来事をクリアして成長していくのだ!彼らの一人前になろうとする姿が愛らしく、時には大人よりも一生懸命にみえて、私たちは、そっと隠しておいた宝物を発見した気分になるでしょう。また俳優のかわいらしさ、映像の美しさは、大ヒットした『アメリ』にも匹敵する、という噂も立つほど。何度も、何度も繰り返し観たくなる映画です。